醜い女だ。嫉妬だなんて。
そう思うものの嫉妬をせずにはいられない。
嫉妬をするという事はそれほどまでに自分が彼が好きだという事だ。好きなのだから仕方がない。
正当化しようとそう思ってみるもののやはりもやもやとした霧のようなものが心にかかって晴れない。 (嫉妬なんかしなくたって、仲権が好きなのは私だけだって分かってるのに) 夏侯覇は以外を好きになるわけがないだろと笑いながらよく言う。 その言葉が信じられないわけではなく、むしろ信じている。 だが如何にもならない。 今日も女官と何やら話をしている所を見ただけで嫉妬心を抱いてしまった。 たかがそれだけの事でもは嫉妬をしてしまう。 「、さっきからぼーっとしてどうかしたのか?」 今もこうして夏侯覇と部屋で二人きりだというのにその事ばかり考えてしまう。 そんな事ばかり考えても何も意味を成さないというのに、頭からはなれない。 「……仲権、あのね、その……」 心配をかけるのも良くないと正直に話そうと口を開くがうまく言葉を紡げなかった。 良い言葉が見つからない。何と説明したら良いのだろうか。 がそうして暫し困惑していると、それで夏侯覇は合点がいったようだった。 「また嫉妬でもしたのか?」 「………うん。ごめん」 既に過去に何度もこの事については話している。 そして返ってくるのが、あの言葉だ。 「いやいやいや、謝る事じゃないだろ。嫉妬なんてむしろ嬉しいし」 「でも、いつも嫉妬ばっかりなんてなんだか醜いじゃない」 としてはほんの少しでも嫉妬する回数を減らしたい。 しかし逆に嫉妬する回数は増えていっている。 挙句に面倒なのは今同様、夏侯覇と居る時にこうした事を考えてしまう事だ。 「それに、私は仲権と居る時は仲権の事だけを考えたいのにさっきみたいになっちゃうのが嫌なの」 あまりそう頻繁に夏侯覇と会えるわけではない。 各々やらなければならない事がある。そんな中で時間を作って漸く会える。 だというのにこれでは意味がないではないか。 どうしたものかと夏侯覇は思案していたようだがすぐに何かを思いついたらしく、よし、と突然と声を上げた。 「」 「え、な…なに……んっ」 低く熱っぽい声で名前を呼ばれたかと思えば唇を重ねられた。 驚いて身を引こうとしたがしっかりと頭と腰を抑えつけられていて引く事が出来ない。 仕方なくそのまま身を任せる事にすると暫くして夏侯覇は唇をはなした。 「ちゅ、仲権…?」 「こうすれば、俺の事だけしか考えられないだろ」 耳元で囁かれてぞわっと背中に走るものがあった。 このの様子が夏侯覇には面白かったらしくその次の瞬間には笑い声が耳に届いた。 そこでやっと羞恥心が追いついた。恥ずかしさに身体が震える。 「俺の事だけを考えたいなら、こうやって俺の事だけを考えさせるようにするからさ、そういうのはもう考えなくてもいいって!」 「だからってわざわざ今やらなくてもいいじゃない!」 恥ずかしさがどんどん増して顔を上げていられなくなり、俯いて目を閉じる。 このままでは如何にかなってしまいそうでこの状態にたえられない。 夏侯覇はといえば、は可愛いなあと言いながら先程同様面白がって笑っていた。 きっと夢中にさせるから title : 確かに恋だった |