「もしも出来る事なら、アンタなんて殺してやるのに」

苦々しくそう呟く彼女の姿は痛々しい。 心身ともに酷く傷つけられたのだろうな、とKKは感じた。

「お前に俺は殺せれないだろうさ、。お前じゃ無理だ」
「私にだって出来るわよ。……今みたいな状況じゃなきゃ、絶対にやってる」

は元々凄腕のスナイパーだ。 KKと同等、いや、それ以上の腕の持ち主かもしれない。 だからこそ、彼女に命を狙われている人間から依頼がきてしまったのだが。

「どうせ殺されるなら、アンタを道連れにして死んでやりたい。私一人で死んでたまるものですか」
「お前らしくない台詞だな」
「私らしくない? 私の事なんか全然知らないくせに、よくそんな言葉が言えるわね」

KKとの関係というのは、所謂“身体の付き合い”である。 それ以外は、今を除いて逢った事はない。 だが、KKは心苦しかった。 そんな関係でしかなかったとはいえ、に心惹かれていた。

「……さて、そろそろお別れの時間だ」

の血まみれの身体へと銃口を向ける。 心が、酷く痛む。

「アンタ、嫌いだわ。化けてアンタを呪ってやる」
「…そうか。俺は、お前の事が好きだったけどな」

次の瞬間、ついに引き金を引いた。 辺り一面が一瞬にして血の海へと変わる。 引き金を引く前、もう遅いわよ、というの呟きが聞こえた気がした。

君も僕も、何もかも遅すぎたのだろう